文字式(数学)の大切さ。大学生になっても活用できない⁉
2021.05.11ブログ
皆さん、こんにちは。
学び舎エルムの岩間です。
暖かく過ごしやすい季節になりましたね。
休みの日は子どもと散歩をしたり、かき氷を食べたりと、楽しく過ごしております。
さて、本日は数学の文字を使った計算「文字式」について伝えていけたらと思います。
中学1年生で初めて文字式が出てきて、2年生は複雑な計算、3年生は因数分解と文字を使った計算を数多く学んでおります。
数学において、文字は必要不可欠であり、とても便利なツールです。
しかしその一方で、漠然と苦手意識を持っている子どもたちも多いのではないでしょうか。
突然ですが、次の式を通分して計算できますでしょうか?
$$\frac{1}{a}+\frac{1}{b}$$
答えは以下のようになります。
$$\frac{a+b}{ab}$$
数字であればできていたことが、文字に置き換わるとできなくなるというのは、あるあるです。
エルムでも、正解できなかったり、そもそも聞かれている意味がよくわからないという子も少なくありませんでした。
文字で表されていてイメージがしづらい場合は、仮に簡単な数字を入れてみるとやりやすいと思います。
仮にaを2、bを3とした場合、
$$\frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{1\times3}{2\times3}+\frac{1\times2}{3\times2}=\frac{2+3}{2\times3}$$
となります。
元の式も同様に考えると
$$\frac{1}{a}+\frac{1}{b}=\frac{1\times b}{a\times b}+\frac{1\times a}{b\times a}=\frac{a+b}{ab}$$
と正解が導けます。
こういった文字式の知識は将来、モノを設計したり、売り上げを予測したりと様々な状況において活用されます。
中学生にとっては方程式や連立方程式、文章問題を解くうえで文字式の理解は基盤となる知識であり、とても大切です。
こういった部分の力をしっかりつけていきたいですね。
ところで、『AI vs 教科書が読めない子どもたち』(荒井紀子著)において、大学生を対象に行った「大学生数学基本調査」の中に次のような問題がありました。
<問題>偶数と奇数を足すと、答はどうなるでしょうか。次の選択肢のうち正しいものに〇を記入し、そうなる理由を説明してください。
(a)いつも必ず偶数になる。
(b)いつも必ず奇数になる。
(c)奇数になることも偶数になることもある。
<正解>(b)いつも必ず奇数になる。
(理由)偶数と奇数は、整数m、nをもちいて、それぞれ2m、2n+1と表すことができる。そして、この2つの整数の和は
2m+(2n+1)=2(m+n)+1
となる。m+nが整数なので、これは奇数である。
中学2年生、3年生が今まさに学習している単元の内容です。
この問題は大学入試直後の1年生を対象としたようですが、正答率は34%とかなり低かったようです。
「2+3=1や4+5=9のように奇数になる。」というようにある例を出して説明する誤答が多かったようです。
文字を使わないと、すべての数において成り立つ説明にはなりません。
学校では、なぜ文字を使うのかはよくわからないけれど、「偶数は2mね、奇数は2n+1ね」と覚えている子は多いと思います。
手段ありきの学習になってしまっているために、それを活用できる子も少なくなってしまいます。
この問題も、「m、nを整数として証明しなさい」というように、文字を使うという手段を促す内容であれば、正答率はかなり上がったのではと思います。
ただ計算できるようになるだけでなく、しっかりと活用できる知識を習得するということを考えると、子どもたち自身が学ぶのも、こちらが教えるのも非常に難しいところだなと改めて実感しました。
定期テストや入試で正解することは、とにかく計算できるようになれば達成できます。
けれど、より本質的な学びにつなげられるような機会もしっかり設けていけたらと思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました。