国語力アップに絵画鑑賞がつながる?
2022.12.11ブログ
皆さん、こんにちは。
学び舎エルムの岩間です。
一段と寒くなってまいりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
僕は朝寒くて布団からなかなか出れない日々が続いております・・・。
今回は「国語の成績アップにつながるアプローチ」についてご紹介したいと思います。
「国語が苦手」、「文章を読むのが苦手」という子どもたちは少なくないのではないでしょうか。
僕自身も本を読むというのが苦手なタイプでした。
そもそも本を読まないから国語が苦手なのか?、国語が苦手だから本を読むのが嫌いでさらに国語が苦手になってしまうのか?こういったことに悩まれる親御さんも多いものと思います。
そこで、今回は読解力や作文力を向上させる少し変わったアプローチの一例を『国語の成績は観察力で必ず伸びる』(久松由理 著)からご紹介させていただきます。
突然ですが、1つ問題です。
次の杉みき子さん作「ある時計台の歴史」のあらすじを読んで問題に答えてください。
ある町に美しい鐘の音で人々を和ませる白い時計台があった。戦争がはじまるとその鐘を鳴らすことは禁じられ、空襲の標的になるからと真っ黒に塗り替えられた。
やがて戦争は終わるが、時計台は元には戻らず取り壊されることに。街の人々が別れの会を開いたその夜、時計台は12回鳴り、最後の力を振り絞ってもう1回鳴って永遠に沈黙した。
問題
なぜ時計台が13回鳴ったのでしょうか?隠れた作者のメッセージは何でしょうか?
皆さん、ちょっと考えてみてください。
時計台を建物でなく、意識ある人のようなものだと思って深読みすると答えが出るかもしれません。
どうですか、分かりましたか?
正解は「平和」の尊さです。
「平和」という漢字を書いてみてください。
そう、「13画」です。
鐘を13回鳴らすことで、作者は「平和ほど良いものはない」と伝えたかったのではなないでしょうか。
なかなか難しい問題ですよね。
これに気づく小学生がいるというのだから驚きです。
ただ、この問題を解くことができたら良い・悪いではなく、物語に秘められ、文字では表現されていない情報を文章から読み取る力というのは文章を読み解くのに大切な力なのです。
前置きが長くなりましたが、国語力アップについてご紹介していきます。
まず、国語の苦手な子は大きく分けると次の3つのタイプに分けられます。
①「飛ばし読み」タイプ
②「主観読み」タイプ
③「文字通り読み」タイプ
それぞれのタイプの特徴と原因、改善方法は・・・
①「飛ばし読みタイプ」
<特徴>
文字通り、一文字一文字をきちんと読まずに言葉をどんどん飛ばして読み、読み終わった後に「どんなお話だったか教えてよ」と言うと、しどろもどろになってあらすじが言えない。
<原因>
もともと言葉に対する興味・関心が薄く、語彙が少ないため、分からない言葉が出てくると飛ばし読みをしてしまう。
<改善方法>
さまざまな事物に興味を持たせる「観察作文トレーニング」が効果的です。
身のまわりの「物」や「場面」をじっくり観察させ、どんどん言葉で説明させます。
この説明する際に5W1H(いつ When、どこで Where、だれが Who、なんのために Why、どんなふうに How、なにをした What)を使って、人に伝える力を鍛えます。
例えば次のような絵を見て、
(いつ)ある日、
(どこで)家の前で、
(だれが)おじいさんたちが、
(なんのために)道をきれいにするために
(どんなふうに)協力して
(なにをした)ごみひろいをした。
という風に一文作文を書いてみます。
語彙力のない子は見たことを言葉に変換するのが難しいため、なかなか書けないものです。
「言葉にできないシーン」に出くわすたびに、その光景を表す言葉をインプットして、語彙力はどんどん増えていきます。
一文作文ができてきたら、身のまわりの物「五円玉やアイスクリーム」などを観察した作文をすることで「観察力」はどんどん鍛えることができます。
②「主観読み」タイプ
<特徴>
作者の言わんとすることを理解せず、自分の主観で勝手に文章を解釈し、読みたいように話を作り変えてしまうタイプ。
<原因>
客観的にものを見る経験をあまり積まず、文章も客観的に読めないため、独自の解釈をしてしまいます。
<改善方法>
客観的な視点、多面的な視点を手に入れるために、「絵画観察」トレーニングが効果的です。
「だまし絵」を使って視点を変える練習です。
次のようなだまし絵から、2通りの絵の見方を作文させましょう。
「若い婦人を斜め後ろから見た絵」と「かぎ鼻であごの長い老婆の横顔」の2つの見方があります。
このように視点を変え、別の側面を発見させるという観察・思考体験を重ねて、真実は一つではないことを理解することが大切です。
③「文字通り読み」タイプ
<特徴>
ハッキリ書かれてあることしか情報として読み取らない、読み取れないタイプ。
国語の点数がいいときもあれば、悪い時もあるというお子さんが当てはまりやすい。
<原因>
表面的なことにしか興味がなく、物事の本質を見抜く力、「見えないものを観る目」が磨かれていない。
<改善方法>
「見えないものを観る目」を育てるために、次のような観察トレーニングが紹介されております。
次の絵を観察し、気がついた事実をどんどん文章にして書き出してみましょう。
その後、この部屋の住人はどんな人物かを推理し、作文してください。
壁に絵が5枚飾ってある、ベットの奥には3着の青い服がかけられている・・・といった事実の読み取りから、この部屋の住人は男性だろう、・・・・と推理していくことで、観察力のトレーニングができます。
ここまで、国語が苦手な子の3タイプについてご紹介しました。
この3タイプに共通した点が「観察力が十分に磨かれていない」という点です。
「観察力」を磨けば、間違いなく国語力は伸びると著者は言います。
「文章問題を解く」や「文章の論理構造を把握する」といった塾で学習しそうな内容とは異なるアプローチで、ご家庭でも実践しやすい内容なのかなと感じます。
特に未就学児や小学校低学年のお子さんがいる親御さんにはぜひ読んでいただきたい1冊でした。
最後になりますが、この本を読んで、僕自身がまずやってみたい!と思ったことは「美術館に行くこと」です。
そもそも美術館にはそれほど行ったことはありませんし、行っても「人の流れに乗りながら作品を見て歩く」というのがいつもです。
「この作品には作者のどのような意図が込められているのか?」そういったことを考えながらじっくりと見てみたいなぁと思っております。
(推理ゲーム感覚かもしれませんが 笑)