九谷焼の”技をつなぐ”世界から、教育について考えた
2026.05.10ブログ

ゴールデンウィークに、石川県の九谷焼の工房「妙泉陶房」さんを訪れる機会がありました。
今回ご縁をいただいたのは、父の知人でもある山本篤さん。
実際に工房を見学させていただきながら、九谷焼についていろいろなお話を聞かせていただきました。
器そのものの美しさはもちろんだったのですが、個人的に強く印象に残ったのは、「技術をつないでいく」という世界でした。
九谷焼には、色鮮やかな上絵付けのイメージを持っていたのですが、実際には成形ひとつ取っても非常に奥深く、山本さんが取り組まれている「型打ち」という技法も、その一つだそうです。
石膏型を使いながら、薄く、均等に取れた形を作っていく。
一見すると”型があるなら同じものが簡単に作れそう”とも思えますが、実際にはそこに職人さんの感覚や技術が詰まっているのだと感じました。

そして面白かったのが、「200年前の型を使えば、200年前の器を蘇らせることができる」ということです。
もちろん、実際には簡単なことではないと思います。
それでも、何百年も前の人が作った形を、現代の職人さんが受け継ぎ、再び形にできるというのは、何とも言えないロマンを感じました。
さらに印象的だったのが、「石川県立九谷焼技術研修所」という存在です。
若い世代が技術を学び、そこから弟子入りして、また次の世代へつないでいく。
伝統工芸というと、”昔から続いているもの”というイメージを持ちがちですが、実際には、こうした「育てる場所」があるからこそ続いているのだと思いました。
そしてこれは、教育にも少し通じるものがある気がしました。
勉強も、すぐに結果が出ることばかりではありません。
時間をかけて、繰り返して、少しずつ身につけていくものもたくさんあります。
効率や即効性が求められる時代ですが、九谷焼の工房で見たのは、そうした流れとは少し違う、「時間をかけて技術を育て、受けついでいく」という世界でした。
だからこそ、長く残っていくものには、”人を育てる文化”そのものが必要なのかもしれません。
旅行の中で訪れた一つの工房でしたが、とても印象に残る、学びにつながる時間になりました。