勉強量=成果とは限らない?子どもの”心のエンジン”をどう育てるか
2025.11.24ブログ

定期テストの勉強について、
学校のワークをしっかりやること、そして繰り返すことは、とても効果的です。
ただし、教育心理学や認知科学の研究では、
「ワークを1周から2周に増やしたら、そのまま効果が2倍になるというわけではない」ことが知られているようです。
子どもの学びは、工業製品のように
「10倍やれば10倍伸びる」という単純な構造ではありません。
その子その子の集中力、理解しようとする姿勢、疲れ具合、気持ちの安定性、「やってみよう」という内側の動機づけ――
こうした”学びの質”が効果を大きく左右します。
だからこそ、
量だけでは動かない。
ダラダラ解く10問より、気持ちが乗っている2問の方が深く定着することもあります。
◆なぜか? → 心の状態が学びを決めるから
心理学の研究では、
・内発的動機づけ(自分からやろうと思えているか)
・認知負荷(処理の負荷が高すぎないか)
・情動(気持ちの状態)
・メタ認知(自分の理解を確かめる力)
などが”学びの質”に強く影響することが分かっています。
つまり、
ワークの2周目を「やらされて」やるのと、
「よし。もう1回やってみよう!」と自分で決めてやるのでは、
同じ2周でも意味が全然異なる。
ここが学びの本質なんですね。
◆では、大人としてどう関わると効果的なのか?
① 「量よりプロセス」を見る
「今日どれくらい進んだ?」
よりも、
「どこができるようになった?」
「どこでつまずいた?」
と声をかけると、子どもは安心して学べます。
✔進み具合ではなく、理解の深まりを見る
✔正解・不正解ではなく、考え方を見てあげる
これだけで、子どもの学びの質が上がります。
② 小さな成功を一緒に拾う
心理学では「スモールステップ」が動機づけに最強とされています。
「この問題を理解できた」
「ここまでは自分でできた」
「昨日よりスムーズになった」
こうした小さな変化を大人と共有できると、
子どもは「やってよかった」と思えます。
③子どものペースを尊重する
学びの成果は直線ではなく、波があります。
調子がいい日と、どうしても進まない日もある。
これは怠けではなく、人間として自然なこと。
「昨日できなかったけど、今日はできたね」
という声かけは、安心感につながって次の一歩を生みます。
④ 「やらせる」ではなく、「やり方を整える」
大人ができる最も効果的なサポートは、
”量を増やすこと”ではなく、
学びやすい環境やスタイルを整えること。
例えば:
・時間を区切って短く集中できるようにする
・学習する場所を整える
・ワークのやり方をシンプルにする
・今日やる範囲を一緒に決める
これは「勉強しなさい」よりずっと効果があります。
◆最後に:子どもは工業製品のようにはいかないことも…
学びは量で押し切るものでも、
大人が”管理”するものでもありません。
子どもは工業製品ではなく、
心の動きとともに成長していく存在です。
だからこそ、必要なのは
「大量の課題」ではなく、
その子に合ったペース、心のエンジンを温める関わり方。
学び舎エルムでは、
そうした、その子のペースに寄り添う学びを大切にしています。