なぜ分数につまずくのか?
2021.07.17ブログ
皆さん、こんにちは。
学び舎エルムの岩間です。
梅雨明けが発表されました。
暑い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
エルムでは夏期講習で子どもたちが充実した学びを行えるように日々準備を進めております。
突然ですが、算数の授業で「分数」につまずく子は多いのではないでしょうか?
エルムでも、子どもたちを見ていて分数に苦手意識をもっている子どもは非常に多いなと感じております。
中学生になっても、方程式の問題に分数が入ると正答率は極端に低下したり…。
分数につまずいてしまう理由やどうしたら得意になれるかについて、『子どもはなぜ分数につまずくのか?』(浅野政男 監修)も参考にしながら、ご紹介させていただきます。
突然ですが、以下の問題を計算してみてください。
$$2\frac{1}{2}×3\frac{2}{3}$$
どうでしょうか?答えは出せましたか?
ズバリ!
$$6\frac{2}{6} = 6\frac{1}{3}$$
という答えは間違いです。
大人の方でも意外と、整数どうし、分数どうしをかけてしまうミスはあるのではないでしょうか?
かけ合わせるそれぞれの分数について見てみると、
$$2\frac{1}{2} = 2+\frac{1}{2}$$
$$3\frac{2}{3} = 3+\frac{2}{3}$$
と表せますので、
$$2\frac{1}{2}×3\frac{2}{3} = (2+\frac{1}{2})×(3+\frac{2}{3})$$
となり、分配法則でそれぞれをかけ合わせます。
すると
$$2\frac{1}{2}×3\frac{2}{3}=2×3+2×\frac{2}{3}+\frac{1}{2}×3+\frac{1}{2}×\frac{2}{3}$$
となり、あとは通分してそれぞれを足し合わせると、答は、
$$9\frac{1}{6} or \frac{55}{9}$$
となります。
こんな手順を子どもたちに見せたら、嫌になること間違いなしです…笑。
こういった煩わしさをなくす、シンプルなルールは、
「帯分数のかけ算・わり算は仮分数に変換して計算する」
です。
ただし、ルールは分かるから計算ができていても、なぜそうするのかは意外と理解しがたいものです。
以上から分かるように、分数につまずいてしまう1つ目の理由は「イメージのしにくさ」があげられます。
この「イメージのしにくさ」が分数の学習を始める上で、大きなハードルとなり、苦手意識につながってしまいます。
今回はかなりイメージしにくい例を示しましたが、子どもたちはもっともっと基本的な部分からイメージしにくいのです。
イメージって本当に大切です。
同じ分数の表し方でも、ケーキのような円を切って表した分数と数直線で表した分数では、数直線の理解度が圧倒的に劣ります。
『子どもはなぜ分数につまずくのか?』では、分数のシートを作成して、それをさらに折ったりしながら、実際に分数の大きさを視覚的にイメージしております。
このような学びに対する工夫は本当に大切だなとしみじみ感じます。
続いて、分数につまずいてしまう2つ目の理由は「経験不足」です。
分数を学習する際、1より小さい数を表すものとして登場しますが、その最大のライバルに「小数」がいます。
子どもたちにとって、小数の方がイメージしやすく、さらに世の中には「気温25.4℃や円周率3.14」など、小数を目にする機会が圧倒的に多いのです。
このように小数の経験を多く積んで「小数派」になった子どもたちに、新たに分数という概念が出てきても、なかなか受け入れがたいところです。
分数の計算をわざわざ小数に直してから計算する子も少なくありません。
ここで次の計算を考えてみてください。
13÷59= ?
小数で答えると、0.22033・・・・
計算は面倒ですし、余りはどうしよう…と悩んでしまいます。
でも、分数で答えたら、
$$\frac{13}{59}$$
ただ、分母と分子にそれぞれを入れるだけで数秒で答えられます!
1つ壁を越えたら、分数はとても便利です。ぜひ一緒に「分数派」を目指しましょう。
余談ですが僕の生活の中で、慣れで使いやすさが変わったものは2つあります。
1つは時計のデジタル表示⇒アナログ表示です。
小さい頃はデジタル表示で時間と分の数字を認識する方が分かりやすかったですが、今は断然アナログ表示の方がしっくり来ております。
2つ目は、これまた時間にかかわりますが、12時間表示⇒24時間表示です。
これも慣れるまでは、17時ということは12引いて5時か、と計算しておりましたが、今は24時間表示の方が断然便利だと感じております。
(ちなみにアメリカでは24時間表示は使われていないようです。)
これらの例と同じように、分数も慣れてしまえば断然便利に感じるはずです。
エルムでは、分数につまずくことのないように「イメージの理解」と「多くの反復」を重視していきたいと考えております。